ヤサシイエンゲイ

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ユリ

ユリ

科名:ユリ科
学名:Lilium
原産地:北半球
草丈:30cm-2m
開花期:5月~8月
難易度:バー バー バー バー バー(ふつう)

くわしい育て方

1.ユリとは
1-1.どんな植物?
1-2.どんなかたち?
 -花
 -雄しべと雌しべ
 -葉っぱ
 -球根
 -根っこ
1-3.野生種の分類
 -テッポウユリ亜属
 -ヤマユリ亜属
 -スカシユリ亜属
 -カノコユリ亜属
1-4.園芸品種の分類
 -アジアティック・ハイブリッド
 -マルタゴン・ハイブリッド
 -キャンディダム・ハイブリッド
 -アメリカン・ハイブリッド
 -ロンギフローラム・ハイブリッド
 -トランペット・オーレリアン・ハイブリッド
 -オリエンタル・ハイブリッド
 -その他交配種
 -原種とそれらの変種

2.歴史と文化
2-1名前の由来
 -ユリの由来
 -百合の由来
 -属名の由来
2-2ユリと人…日本
 -古代
 -中世
 -江戸自体
 -明治以降
2-3ユリと人…世界
 -古代
 -中世
 -近代

3.世界各地の主なユリ
3-1.日本のユリ
 ●日本特産種 
  -ヤマユリ
  -ササユリ
  -ヒメサユリ
  -コオニユリ
 ●その他
  -テッポウユリ
  -オニユリ
  -エゾスカシユリ
  -カノコユリ
3-2.アジアのユリ
  -タカサゴユリ
  -リーガル・リリー
  -タケシマユリ
3-3.ヨーロッパのユリ
  -マドンナ・リリー
  -マルタゴン・リリー
3-4.アメリカのユリ
  -カナデンセ
3-5.ユリじゃないユリ
〔〕内は学名、L.はLiliumの略

1.ユリとは

1-1.どんな植物?

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北半球の亜熱帯~亜寒帯におよそ96種が分布する球根植物で、日本にはその中の15種が自生します。そのうち6~7種は日本のみに分布する固有種です。自生地は山野の草地や里山の疎林の傾斜地、海岸の岩場や砂地など水はけがよくて適度に日射しのある場所です。

花の姿や性質は種によってまちまちでひと言では説明できませんが、野生種は花姿で4系統に、園芸品種は元となった野生種の違いで8系統に分けられます。

基本的に秋に球根を植え付けると初夏~夏に花を咲かせます。花壇や庭植えの他、鉢植えや切り花に利用されます。野生種は美しさの中にも風情がありますし、園芸品種は野生種にはない花色やゴージャスさ、かわいらしさがあり、楽しみ方の多い植物です。

日本でも球根が広く流通して親しまれているのは、スカシユリとも呼ばれるアジアティック・ハイブリット、カサブランカを代表とするオリエンタル・ハイブリッド、テッポウユリやそれらが元となったロンギフローラム・ハイブリッドなどです(詳しくは分類(園芸品種)を参考にしてください)。

1-2.どんなかたち?

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基本は6枚の花びらをもちます。正確に言うと外側の3枚はがくが色づいたもので「外花被(がいかひ)」、内側の3枚が本来の花びらで「内花被(ないかひ)」と呼びます。開花した状態では花びらは同じに見えますが、つぼみの状態から観察すると、外花被が内花被を包んでいたことがよくわかります。花の形は大きく開くもの、下向きに咲き花びらが反り返ってまあるくなるもの、筒状で先端が少し開くもの、上向きでカップ状に咲くものなどいろいろあります。

雄しべと雌しべ
花の中心から1本の雌しべと6本の雄しべを伸ばします。雄しべは長く伸びた花糸とその先端にぶら下がるように付く葯(やく)からなり、葯は花粉を出します。花粉赤褐色~黄色、油分が多くてチョウの羽のように水をはじくものにもしっかりくっつきます。また、服などにつくと落ちにくいです。

 

葉っぱ
むかご
むかご
葉っぱは細長い笹のような形をしたものが多いです。長さは3cmくらいから20cmまでと種によって違います。1本の茎に付く葉の数も少ないもので10数枚、多いものでは200枚以上付きます。葉っぱと茎の基部にむかごと呼ばれる球根のようなものが付きます。むかごはぽろりと地面に落ちて根を生やして新たな株になります。むかごはできない種もあります。

球根
やや肉厚のりん片が重なり合って1つの球根を形成します。りん片の1枚1枚は葉が栄養や水分を蓄えられるように変化したものです。球根の大きさは種によって大きさや色、形は様々です。球根は外皮をもたずに裸の状態で強い乾燥は苦手です。

各部名称根っこ
球根の下から「下根」、球根から伸びた茎に「上根」と呼ばれる役割の異なる2種類の根を付けます。下根は株を固定させ、上根は水や栄養を吸収します。下根は伸縮する力があり、伸びて縮む時に球根を引っ張って地中を移動する役目もあり、牽引根や収縮根とも呼ばれます。茎が地面を横に伸びて地下茎になる種もあります。上根の付け根には木子と呼ばれる小さな球根を付けます。中には上根を出さない種もあります。

1-3.野生種の分類 

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花の姿で主に6系統(亜属)に分類されます。

テッポウユリ亜属(Leucolirion)
主にアジアに多く分布する系統です。筒状の長い花が横向きに咲きます。テッポウユリ、ササユリ、オトメユリ、タカサゴユリ、リーガル・リリー、マドンナ・リリーなどがあります。

ヤマユリ亜属(Archelirion)
日本に自生する系統で、じょうご形の花を横向きに咲かせます。ヤマユリ、サクユリがあります。

スカシユリ亜属(Pseudolilium)
世界に広く分布し、カップ状の花を上向きに咲かせます。ヒメユリ、エゾスカシユリ、ヒメユリなどがあります。

カノコユリ亜属(Martagon)
世界に広く分布し、花は下向きに咲き、花びらは思い切り上に反り返ります。カノコユリ、マルタゴン・リリーなどがあります。

シノマルタゴン亜属(Sinomartagon)
オニユリやヒメユリなど 。

リリオティプス亜属(Liriotypus)
マドンナリリーなど。

1-4.園芸品種の分類

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ユリは古くから利用されてきた植物ですが、品種改良が盛んに行われるようになったのは19世紀末以降と、その歴史は存外に浅いです。

英国王立協会では改良の元となった野生種の違いで、園芸品種を8グループ(Division1~8)、そこに原種・変種(Division9)を加えて9つに分類しています。 ハイブリッドは「交配」という意味です。

アジアティック・ハイブリッド(Division1)
アジア原産で主にオレンジ色系の花を咲かせるエゾスカシユリ、オニユリ、ヒメユリなどが元となった系統です。園芸ではスカシユリと呼ばれることが多いです。花はカップ状で上向きに咲き、芳香はあっても弱いです。花色はオレンジ、黄色、赤、ピンク、白などがあり、複数の色が入るカラフルな品種もあります。植えっぱなしでも毎年花を咲かせてくれる強健な品種も多く、庭植えにも適しています。

マルタゴン・ハイブリッド(Division2)
マルタゴン・リリーとタケシマユリを掛け合わせて作られた系統です。花は下向きに咲き、花びらは上に反り返って、小振りのまあるい形になります。日本ではあまり馴染みはないです。

キャンディダム・ハイブリッド(Division3)
マドンナ・リリーを中心として、ヨーロッパ原産種(マルタゴン・リリー除く)を掛け合わせた系統です。日本ではほとんど栽培されていません。

アメリカン・ハイブリッド(Division4)
北アメリカ原産種を元とした系統です。花は大輪で下向きに咲き、花びらは大きく反り返ってまあるい形になります。庭植えに適していますが、日本ではほとんど知られていません。

ロンギフローラム・ハイブリッド(Division5)
シンテッポウユリ オーガスタ
シンテッポウユリ
オーガスタ
テッポウユリとタカサゴユリを掛け合わせて改良された系統で、シンテッポウユリ(新鉄砲百合)が広く栽培されています。本来この系統は横向きに花を咲かせますが、それを上向き咲きに改良したライザン(雷山)やオーガスタがあります。

トランペット・オーレリアン・ハイブリッド(Division6)
最初の品種がフランスのオーレリアン地方で作られたので、この名前があります。リーガル・リリーやキカノコユリ、アジア産のテッポウユリ系が元となっています。花姿は筒状から大きく開くものまで、品種によって様々です。花色はオレンジ、黄色、ピンク、白などがあります。

オリエンタル・ハイブリッド(Division7)
日本に自生するヤマユリやササユリ、カノコユリを中心として改良された系統です。芳香を放つ大輪の花や筒状の花を咲かすものがあり、花色は白やピンク、紅色などがあります。ゴージャスな雰囲気を持つものが多いです。ものによってはウイルス病に弱くて球根が腐敗しやすいなど、やや栽培しにくい面があります。白花大輪のカサブランカは有名な品種です。

主な交配種その他の交配種(Division8)
上記の分類に属さない園芸品種です。異なる系統の品種同士を掛け合わせたものもあり、それらは広く普及しています。代表的なものに、LAハイブリッド、LOハイブリッド、OTハイブリッドなどがあります。

原種とそれらの変種(Division9)
園芸品種の元となった野生種(原種)や、それらの変種です。

2.歴史と文化

2-1.名前の由来

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ユリの由来
ユリの語源は諸説あり決定的なものがありません。見た目から
・花が風に揺り動く様の「揺り」
・球根は鱗片が寄り合って(重なり合って)いる、「寄り」が訛って
などの説があります。

また、古事記(712年)に登場する伊須気余理比売命(いすきよりひめのみこと:神武天皇の后)の「余理」が転訛して「ゆり」になったとも言われています。

百合の由来
現在は「百合」の漢字を当てますが、万葉の頃には「由理」「由利」などの漢字が当てられていました。2~3世紀頃に著された中国の書物に「百合(パイホ)」の記述があり、これ日本に伝わって「ゆり」を表す字として使われるようになったと言われます。百合はたくさんの鱗片が重なり合った様に由来する、とされます。

属名の由来
属名のリリウム(Lilium)はケルト語の「白い」と「花」に由来し、マドンナ・リリーの花姿から来ています。

2-2.ユリと人…日本

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日本では書物や和歌など文化的なシーンでユリを見ることができますが、実際は食用や薬用が主体の植物だったようです。花を鑑賞するようになったのは近代に入ってからです。

古代
古事記に『神武天皇がユリを摘んでいる娘に惚れて嫁にした』というエピソードがあり、これが日本で最古のユリに関する記述とされます。舞台は奈良の三輪山のふもととされており、分布などを鑑みると、このユリはササユリだとされています。この物語を現在に伝える行事が、奈良県桜井市の率川(いきがわ)神社で行われる三枝祭(さいくさのまつり)で、ゆりまつり、とも呼ばれます。
万葉集(759年)には10首にユリが詠まれています。

中世
ふすま絵などの花鳥画や浮世絵、織物や衣装、工芸品などにユリが描かれるようになります。ただ、あまり花を意識されていなかったからか、ウメやキクに比べると極端に少ないです。

江戸時代
江戸時代になると、花の観賞にも注目されるようになりました。スカシユリの改良が行われるようになり、17世紀末の書物には37種が紹介されています。また、ヤマユリの変種も多く記録されています。ヨーロッパからシーボルトをはじめ植物学者や医者などが派遣されるようになり、ユリを含めた日本の植物がヨーロッパに紹介されるようになり、海外の人たちにも注目されるようになりました。

明治以降
園芸用にヤマユリやカノコユリ球根の輸出が始まり、明治末には重要な輸出品のひとつになりました。その後テッポウユリの球根が輸出の多くを占めるようになりました。テッポウユリはアメリカで特に人気が高かったようです。テッポウユリは当初、山採りされていましたが、質のよいものを選抜してそれを栽培して増やすようになり、色々な品種ができました。しかし、病気やウイルスに弱い面もあり、耐病性があり丈夫な園芸品種が台頭するにつれ、輸出は衰退していきました。
昭和の初め頃に現在でもよく知られるシンテッポウユリが作出され、戦後にはカノコユリの優良品種などが作られました。残念ながら現在は海外におされており、世界各地で品種改良・生産された球根が日本でも広く流通しています。

2-3.ユリと人…ヨーロッパ

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古代
ヨーロッパではかなり古くから親しまれていたようです。クレタ島の遺跡からは紀元前15世紀頃のものとされる、マドンナ・リリーの描かれた壁画などが見つかっています。メソポタミアや古代エジプトでは文様に使われていました。
また、薬用としても古くから栽培されていました。球根をすりつぶしたものがウオノメの薬などにされていたそうです。ローマの進軍とともに、ヨーロッパに広がっていったと言われています。

中世
聖母マリアの象徴として、多くの絵画に描かれることになります。キリスト教では「復活祭」などの行事や儀式と強く結びついて聖なる花として扱われるようになりました。

近代
古代~中世はマドンナ・リリーが広く親しまれてきましたが、ひとつの転機が訪れます。日本からテッポウユリが紹介され、19世紀には球根が輸入されるようになったのです。テッポウユリはヨーロッパの気候でもよく育ち、栽培面にやや難があるマドンナ・リリーに取って代わられました。テッポウユリ以外にも日本から様々な種のユリが入ってくるようになりました。
その後、違う種同士を掛け合わせてたくさんの園芸品種が作られるようになりました。ヨーロッパではオランダが有名ですが、世界を見るとアメリカやニュージーランドでも盛んに品種改良や球根の生産が行われています。

3.世界各地の主なユリ

3-1.日本のユリ

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日本には15種が自生します。花が大きくて美しいものが多いです。ヨーロッパに導入されて、現在まで至る園芸品種に大きな影響を与えた種がたくさんあります。

日本特産

ヤマユリ〔L. auratum〕
原産地は本州ですが、北海道や九州、四国にも野生化したものが見られます。花の大きさは野生の百合の中でも最大級で直径25cmほどになります。色は白で、花びらの中心に黄色い筋が走り、全体に赤褐色の斑点が入ります。成株は草丈1.5m~2m、1~10数輪の花を咲かせます。球根は淡いクリーム色で苦みが少ないので食用になります。花色の異なる変種がいくつか知られています。
・ベニスジ(紅筋)〔var. rubrovittatum〕…花びらに紅色の太い筋が入ります。
・クチベニ(口紅)〔var. pictum〕…紅色の大きな斑点と赤みを帯びた筋が入ります
・シロホシ(白星)〔var. virginale〕…斑点が乳白色で花びらの白色と同化して目立たない。
・サクユリ(作百合)〔var. platyphyllum〕…タメトモユリ(為朝百合)とも呼ばれます。伊豆諸島特産の変種で基本種よりも全体的にごついです。花は30cmに達する超巨大輪で世界最大のユリです。

ヤマユリ
ヤマユリ
ヤマユリ 紅筋
ヤマユリ 紅筋
サクユリ
サクユリ
 

ササユリ〔L. japonicum〕
学名にjaponicum(日本産)を冠された日本特産種でサユリとも呼ばれます。本州の伊豆より西、四国、九州に分布し、斜面の雑木林の中などに自生します。葉の形が笹の葉に似ているのでこの名前があります。花は長さ10cm~14cm、先端の開いたラッパ型です。色はおおむね淡いピンクですが個体によって濃淡があります。草丈は1m、自生地域によって変異の大きいユリです。成長が遅くて病害虫に弱く、栽培は非常に困難とされます。

ヒメサユリ
ヒメサユリ

ヒメサユリ〔L. rubellum〕
東北のごく限られた山地に自生し、オトメユリとも呼ばれます。花は長さ6cm~7cmの短い筒型で色は淡いピンクです。自生する標高によって草丈などがやや異なります。

スカシユリ〔L. maculatum〕
主に東日本の海岸線に分布します。自生地域の違いで、イワユリやイワトユリとも呼ばれます。花の大きさは径10cm程で色はオレンジ色で褐色の斑点が入ります。形はカップ型で上向きに咲きます。変種に葉の幅が広くて密につくミヤマスカシユリ〔var. bukozanense〕があり、関東地方のごく一部に分布します。

コオニユリ〔L. leichtlinii var maximowiczii〕
本州、四国、九州で見られ、海岸線から山地まで広く自生します。草丈は2m程になりますが、花はオニユリを全体的にちっちゃかわいらしくしたような姿で、10輪程が咲きます。本種の改良品種「白銀」は食用(ゆり根)に北海道で多く生産されています。アカヒラトユリの別名があります。

ホソバコオニユリ〔var. tenuifolium〕…葉の幅が狭い変種です。谷筋の崖などに生えるので、タニマユリとも呼ばれます。

その他 

テッポウユリ〔L. longiflorum〕
屋久島から沖縄など南西諸島、台湾に分布します。原産地では日当たりのよい海岸周辺に自生します。花は筒状で先端が開き横向きに咲きます。その姿がラッパ銃のように見えるので、この名前があります。花色は白で、園芸品種が切り花で広く利用されています。切り花向きの代表品種にヒノモトがあります。江戸時代に選抜されたと言われるチョウタロウ(長太郎)ユリは葉っぱに白い縁取りが入る美しい品種です。

ヒメユリ〔L. concolor〕
本州の東北より南、四国、九州、朝鮮半島北部、中国北部、ロシアのアムール地方などに分布します。草丈は40cm~1m自生地域の違いで、花の大きさは6cm~8cmで花びらの幅はやや細く色は緋色~濃い赤オレンジ色で色幅があります。やや小降りの花ですが、非常に目立つ花色です。地域により形態に変異があり、代表的なものにミチノクヒメユリ、チョウセンヒメユリなどがあります。

オニユリ〔L. lancifolium〕
日本、朝鮮半島、中国に広く分布し、里山などに自生します。野生のユリの中では最もよく見られます。人によって古い時代に中国から入ってきたとも言われています。日本に自生するオニユリは基本的にタネを付けません。草丈は2m程で、花びらを大きく反り返らせたオレンジ色の花を下向きに咲かせます。多花性で30輪程の花を咲かせます。球根は食用になります。花びらには褐色の斑点が全体に入ります。
・オウゴンオニユリ〔var. flaviflorum〕…対馬のみに分布する黄花の変種です。栽培品がよく出回ります。
・ヤエオニユリ〔'Flore-Pleno'〕…雄しべや雌しべが花びらになった八重咲き品種です。

エゾスカシユリ〔L. dauricum〕
北海道と青森の北端、千島、樺太、シベリア南部~モンゴルに分布します。花は径10cmほどでオレンジ色に褐色の斑点が入ります。草丈は50cm~1m、暑さに弱いです。

カノコユリ〔L. speciosum〕
九州や四国、台湾や中国南東部に分布します。草丈はおよそ1.5m、1株から20輪ほどの花を付けます。花は紅色で縁が白くなり、全体に紅色の斑点が入ります。花びらは大きく上に反り返り下向きに咲きます。
・タキユリ〔var. clivorum〕…崖や岩場に生える変種で、茎が枝垂れて花が咲きます。
・タイワンカノコユリ〔var. gloriosoides〕…花びらは白でフチが強く波打ち、オレンジ色の斑点が入ります。

クルマユリ〔L. medeloides〕
主に北海道、本州以北中部の山地、シベリア、カムチャッカ、千島列島、朝鮮半島などに分布します。花は赤みの強いオレンジ色で、黒い斑点が入ります。花は下向きに咲き、花びらが大きく反り返り、丸っこい形になります。冷涼な気候の場所で育ちます。

ヒメユリ
ヒメユリ
オニユリ
オニユリ
オウゴンオニユリ
オウゴンオニユリ
エゾスカシユリ
エゾスカシユリ
カノコユリ
カノコユリ
クルマユリ
クルマユリ
   

 

3-2.アジアのユリ

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タカサゴユリ〔L. formosanum〕
台湾の海岸線から高山にまで分布します。テッポウユリをスリムにしたような花姿で色は白で、外側に紅紫色の淡い筋が入ることもあります。草丈は40cm~2mになります。タネをたくさん付けてよく増えます。本種とテッポウユリを掛け合わせたシンテッポウユリは切り花に広く利用されています。変種に小型のヒメタカサゴユリ〔var. pricel〕があります。

リーガル・リリー〔L. regale〕
中国四川省の渓谷に分布します。花は短い筒状で先端がラッパ上に開きます。花びらの内側は白で基部が黄色く色づき、外側は紫褐色を帯びます。野生種の中ではウイルス病に比較的強く、栽培しやすくて庭植えにも適しています。

タケシマユリ〔L. hansonii〕
韓国の鬱陵島(うつりょうとう)のみに分布します。草丈は70cm~80cmで、黄オレンジ色の小さな花を下向きに咲かせます。

ランコンゲンセ〔L. lankongense〕
雲南省に分布します。花色は咲き始めが淡いピンクで、咲き進むと色合いが濃くなっていきます。花の大きさは径4cm~5cmで丸っこく、下向きにつきます。

タカサゴユリ
タカサゴユリ

リーガル・リリー
リーガル・リリー
ランコンゲンセ
ランコンゲンセ

 


3-3.ヨーロッパのユリ

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マドンナ・リリー〔L. candidum〕
パレスチナ原産で、古くから栽培されており、中世までは文化や歴史面でヨーロッパを代表したユリです。草丈は80cmから1.5mで径3cm~4cmのじょうご形をした白花を横向きに咲かせます。

マルタゴン・リリー〔L. martagon〕
ヨーロッパ、ユーラシアに広く分布します。花の大きさは径3cmほどで、花びらが反り返ってまあ累加立ちになり、下向きにたくさん付く姿はシャンデリアのようです。花色は紫を帯びたピンクがふつうですが、白や赤紫などの変種もありカラフルです。寒さに非常に強い反面、暑さに弱いので日本ではあまり栽培されません。

3-4.アメリカのユリ

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カナデンセ〔L. canadense〕
北アメリカ原産でカナダユリとも呼ばれます。花色は黄色~オレンジ色で色幅があります。チューリップハットのような花を咲かせます。地下茎が地中を横に走り新しい球根を付ける、少し変わったタイプのユリです。

3-5.ユリじゃないユリ

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植物学でユリと言うとユリ科リリウム属の植物のことを指します。しかし、ユリ(リリー)の名前が付けられているけど、分類上はユリとは違う植物もたくさんあります。


クロユリ
ウバユリ
ウバユリ
アルストロメリア
アルストロメリア
グロリオサ
グロリオサ
ユーコミス
ユーコミス
ネリネ
ネリネ
チグリジア
チグリジア
         

クロユリ…ユリ科の植物ですが属が異なります。ユリに似た黒い花を咲かせます。山野草として扱われます。

ウバユリ…ユリ科の植物ですが属が違います。日本の山野に広く分布します。長い白花を横向きに咲かせます。

ユリズイセン…ユリズイセン科、一般的にアルストロメリアの名前で知られています。庭植えや鉢花で育てられます。

キツネユリ(ユリグルマ)…イヌサフラン科のつる性球根植物です。グロリオサの名前で知られます。

パイナップル・リリー…ヒヤシンス科、ユーコミスの名前で通っています。

ダイヤモンド・リリー…ヒガンバナ科、ネリネと呼ばれています。

タイガー・リリー…アヤメ科で花に虎をイメージさせるまだら模様が入るのでこの名前があります。チグリジアの通称です。

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