ヤサシイエンゲイ

ワサビの育て方

ワサビアブラナ科 学名:Wasabia japonica (=Eutrema japonica )用途 鉢植え 露地植え
難易度 バー バー バー バー バー(むずかしい)

耐寒性 バー バー バー バー バー(ふつう)

日本(本州・四国・九州)、サハリンなどに分布する、毎年花を咲かせる多年草です。冷涼な気候を好み、主に山間を流れる渓流の浅瀬に自生します。特有の辛味があり、日本では古くから香辛料や漬物などの食材に利用されています。

栽培カレンダー
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
開花期
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植え付け
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肥料
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はじめに
ワサビは大きく分けて2つの栽培方法があります。一つは清涼な水の流れる浅瀬で栽培する「水ワサビ(沢ワサビ)」と普通の野菜と同じように土で育てる「畑ワサビ(丘ワサビ)」です。

栽培方法による大きな違いは、「畑ワサビ」は「水ワサビ」に比べると根茎があまり肥らないということです。そのことから根ワサビを収穫したいのであれば「水ワサビ」のほうが栽培方法として適していると言えます。茎や葉にもワサビ独特の辛みや香気があり充分楽しめるで、特に気にしないのであれば「畑ワサビ」でもかまわないでしょう。

ワサビは、栽培方法の違いによって結果が大きく異なることを念頭に置いておくとよいでしょう。

このページでは、主にプランターによる水ワサビの栽培を紹介します。

季節・日常の手入れ ポイント
まず、栓ができて水の貯められるタイプのプランターを用意します。水のある環境で育てると言っても特に湿潤を好むというわけではありません。湿潤と言うより基本的に流水を好むのでそこに水を流しっぱなしで栽培するのが理想的ですが、一般家庭では難しいですので、水はにごらない内にこまめに替えるようにしましょう。

摘花
直射日光が当たると水温が上昇する上に、早く水が傷みますので注意が必要です。清涼な水を好むワサビにとってこまめな水替えが手入れのポイントの一つです。貯める水の量は表土から2cmほど上に水位が来るくらいが適切です。

またタネを採る、花を観賞したいなどの目的がないのならつぼみを見つけたら早めに摘み取ります。そうすることで味・香りのよい上品質のものが収穫できるとされます。

日当たり・置き場所
生育適温は8~20℃程度で水温が16~18℃の環境で最もよく育つと言われています。もともと冷涼な環境での栽培を前提としますのでベランダ栽培などではそれなりにシビアな温度管理を要されると言ってもよいでしょう。植物ですのである程度環境に順応する能力はありますが、気温が30℃を超すと生育は困難です。

直射日光を嫌い、常に薄日が当たるような場所を好みます。特に真夏の置き場所には気を付けましょう。ベランダなどでは光は射し込まないけども比較的明るい場所などが適していると思われます。また、気温の上昇を抑えるために熱のたまらないよう通風をはかることも大切です。

水やり・肥料
水やりは「季節・日常の手入れ」の項を参照にしてください。またワサビの性質として水量の増減の激しい場所ではよく育ちません。夏に水が蒸発して減ったから継ぎ足すというような水管理を繰り返すと枯れてしまうこともあります。常に一定の水量を保つように水の管理を行いましょう。水位は表土の2cmほど上が適切です。

肥料は春と秋の生育旺盛な時期に行います。チッソ分の少ない肥料をこぼれないように目の細かいネットや使い古しのストッキングのようなものに入れて施します。流水の中で育てるのなら流されないように鉢やプランターに端っこを引っかけておくとよいでしょう。夏は暑さで生育が減退するので肥料は施しません。

用土
川砂を使って植え付けます。

植え替え・植え付け
大きくなった株は涼しくなった9月下旬から10月中旬頃、株分けを兼ねた植え替えを行います。逆に言うと株分けをしないのであれば植え替える必要はあまりありません。

購入した株はきれいに土を落として新しい用土で植え付けます。植え付けの適期は9月下旬から翌3月頃までですが、できるだけ秋に植え付けて冬が来るまでに充分根を張らせた方が翌春からの生育がよいです。複数植える場合は株と株の間隔は20cm程度あけます。

ふやし方
タネまき、株分けでふやすことができます。 

タネはあまり市販のものを見かけませんので、自家採集したものを使うことが多いと思います。タネは3月、もしくは10月頃がまき時です。川砂と畑土を半々に混ぜた土を使い条まき(※)します。発芽して混み合った場所は間引いていきます。苗の状態では耐寒性耐暑性ともに弱いですので、夏は通風、冬は保温に気を付けましょう。

また、タネは花後約1ヶ月半位~2ヶ月の間で採取します。春に咲いた花が夏頃に実る計算になります。タネの採集する頃はまきどきとは外れていますのでさやごと採集して湿らせた川砂に埋めて貯蔵し、時期が来たらさやから取り出してタネをまきます。

株分けは子株が発生しているものに行うことができます。適期は9月下旬から10月中旬です。

※条まき(すじまき)…土に指などで平行して何本かの溝を付けてその溝に沿ってタネを一列に蒔く方法。 タネが重ならない程度詰めてまいて、発芽後間引きながら育てることが多い。 畑などに野菜を直まきする場合もこの方法でまくことがよくある。

かかりやすい病害虫
病気 軟腐病・ 害虫 アオムシ
軟腐病は高温時に発生することの多い病気で株全体が腐っていく病気です。発生してしまうと施しようがありませんのでかわいそうですが抜いて処分してしまいます。できるだけ涼しい場所で育てることが大事です。アオムシは主に春に発生し葉を食害します。見つけ次第駆除しましょう。

収穫と利用
収穫
株から育てたものはだいたい、2年くらいから収穫できます。収穫時期の目安は特にないようですが一般的に花後~夏にかけて収穫するようです。

利用方法
肥大した根茎をすり下ろしてそばや刺身の薬味として利用します。葉や茎・花にも同様の辛み、香味がありしょうゆ漬けやおひたし・てんぷらとして利用できます。

まとめ 
「水ワサビ」「畑ワサビ」の2つの栽培方法があります
タネを採らない場合は花を摘む
一年を通して直射日光を避ける

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