ヤサシイエンゲイ 私家版

雄花と雌花があるラン

カタセタム(カタセツム)

カタセタム
科名:ラン科
学名:Catasetum
別名:
原産地:中・南アメリカ
草丈:20cm〜40cm
主な開花期:冬〜春
栽培難易度:バー バー バー バー バー
(ふつう)

くわしい育て方

〔〕内は学名、N.はNeriumの略

カタセタム(カタセツム)とは

中南米におよそ70種類が分布するランの仲間です。樹木などに根を固定して生活する着生ランです。生育期は縦に筋が多く入る大きな薄い葉を5〜6枚だします。生育期も半ばを過ぎると株元は徐々にふくらんできてバルブを作ります。乾期(日本では主に冬)になると、葉を落として休眠に入ります。葉を落とした姿は、丸みのある小さなタケノコ(バルブ)が鉢から生えているようです。春になるとバルブから新芽を出して、また新たなバルブを作ります。古いバルブは新芽が育って行くにつれてシワがよって小さくなりますが、数年は残ります。

休眠期にバルブのつけ根当たりから花茎を弓状、もしくは下向きに伸ばして10輪ほどの花を咲かせます。花には雌花と雄花があり、同じ種であっても姿や色が異なります。 色は地味めが多いですが、形はユニークです。

雄花と雌花

キョウチクトウの花
雄花(ピレアツム)
斑入り葉種
雌花(種不明)

形の違う雄花と雌花を咲かせるのが、このランの特徴の一つとなっています。1株に両方付いたり、雄花と雌花の両方を合わせた中間的な花が咲くこともあり、はっきりとは言えないのですが、小さな株には雄花、しっかりした大きな株には雌花が付く傾向があります。
雄花は種によって色や形、大きさが異なり、バラエティーに富みます。主に観賞しているのは、雄花が多いと思います。蕊柱(ずいちゅう:雄しべと雌しべを一体化したような器官)先端に突起があり、そこに触れると塊状の花粉が勢いよく飛び出す、おもしろい性質があります。
雌花は花びらの一部が袋状になり、上下逆さまに咲くものが多いです。どの種も形は似ており、色も緑黄色がおおう、やや渋めです。

毒性

キョウチクトウは葉、茎、根、花、種子などすべてが有毒で、オレアンドリン、アディネリン、ギトキシゲン、ジギトキシゲンなど複数の有毒成分を含んでいます。肉を焼くのに生木の枝を串代わりにしたり、箸として利用して中毒を起こした例が知られています。また、生木を燃やした煙も有毒とされます。死に至る症状として、心臓麻痺などが挙げられます。

毒も使いようによっては薬となり、葉や樹皮を乾燥させたものは強心剤や利尿剤となりますが決して素人が用いてよいものではありません。

毒性のイメージが先行するのか、校庭に植栽されているものをすべて伐採しようとしたり、市花として指定されていたものを取り消された事例などがあります。過度に恐怖心を抱かず、正しく知って適切な用途や距離感で植物と永くつきあいたいものです。

その他

キョウチクトウは大気汚染や悪環境に耐えると言うより、有害物質を体内に取り入れない仕組みができていると言われています。キョウチクトウの葉は裏側に肉眼では見えないくぼみがあります。くぼみの内側にはびっりと毛が生えおり、その奥に空気を取り込んだり、呼吸するための気孔があります。 毛がフィルターの役割をし、気孔から有害物質が入ることを防いでいるようです。

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