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球根植物のふやし方

■球根がふえる

球根は自分の中に栄養をたくさん貯蔵しており、花が咲いたあとにタネができるように球根の場合は、親球のまわりに子球ができて増えます。里芋が収穫するときにはたくさんなっているのと同じです。植えっぱなしでも毎年勝手に増えていくものもありますし、人間が手を加えて(切るとか、手で分けるとか)球根が増えるようにすることもできます。どちらにしても球根によって性質が違いますので、それを理解した上でおこなう必要があります。

■球根のふやし方

球根をふやすことを分球と言います。球根はふえたり芽の数が多くなった状態でほおっておくと、きゅうくつなイモ洗い状態になり、十分育たなくなります。そうなる前に分球して十分スペースを確保してあげることが大切です。

新たな球根ができ、自然に分かれる
チューリップの分球
各部名称

鱗茎タイプや球茎タイプ(詳しくは球根植物の特長をご覧ください)のものに多くみられます。主なパターンとして、

Ⅰ.最初に植えた球根(親球)のまわりに子球が発生して、子球が親球のように大きくなる。
Ⅱ.親球自体が肥大していくつかに分かれる。
Ⅲ.親球自体が分かれてさらに子球が付く。

Ⅲは要するにⅠとⅡを合わせたパターンです。

親球は残るものもあれば、消滅してしまうものもあります。たとえばチューリップはいくつかの子球を作って親球は消滅します。また、クロッカスのように子球にさらに小さな球根がつくものもあり、それを「木子」と呼びます。

自然に球根が分かれるので、そのままずばり「自然分球」です。基本は手で分けます。

 

球根は分かれないけど、芽の数が増える

ダリアの球根塊茎や根茎は芽の数が増えて大きくはなりますが、新しい球根を別に作らないので手で簡単に分けることはできません。また、ダリアのように球根の数が増えるものの、付け根ですべてくっついており自然に離れることがないものもあります。

カッターナイフなどのよく切れる刃物で切断するわけですが、分球するタイミングは植え付ける直前で、切断の仕方は少なくとも1カ所は芽が出る部分をつけて切ることです。

もし、芽が出る部分をつけずに切り取ってしまうと、それは単なる根の塊となり、植え付けても芽が出ることはありません。要するに意味がない上に作業する分、無駄ともいえます。

ですから、芽のでる部分をちゃんとつけて切断するようにしましょう。植物によって芽の出る位置は異なるので、その点も注意が必要です。

むかご

ユリの場合むかごは茎の節などにできる小さな球根のようなもので、自然分球に似ています。自然分球と違うところは、ムカゴは地中ではなく地上にできることです。ある程度の大きさになったムカゴは茎からぽろりと簡単に外れます。

タネをまくように土に植えると育ち開花しますが、自然分球の場合の子球とは違い、小さいムカゴは肥大して花が咲くようになるまで、3~4年の時間が必要です。自然分球の子球は早ければ1年で親球と同じ大きさになり、花も咲かせるようになります。「 ユリ」、「グラジオラス」などは、ムカゴが発生します。

■強制的にふやす

前述のように子球やむかごができたり芽の数が増えると分球もスムーズにできるのですが、中にはそのように上手くいかない場合があります。そんなとき、球根に子株ができやすいように意図的に手を加えたり、一つの球根を強引に分けてしまう方法があります。これらの方法は慎重におこなわないと球根そのものをダメにしてしまうので注意が必要です。一応繁殖方法の一種として覚えておくのもいいかもしれませんが、あまり使うことはないかもしれません

ペリペリ剥がす

ユリの鱗片ざしユリの球根はウロコ状の鱗片が重なって一つの球根のカタチになっています。この鱗片を一つずつはがしてバーミキュライトなどの無菌の土を入れた鉢にさして育てます。しばらくすると根が出て、小さな球根が作られるので、ほかの鉢に一つずつ植えて育てます。しかし、花が咲くまでには最低3年ほど必要です 。

球根の一部を切り取ってしまう

スク-ピング ノッチング分球しにくい性質の球根の場合採る方法で、ヒヤシンスでおこなうことがしばしばあります。植え付け前に、球根の基部をえぐり取ってしまうか、大きく傷を付けてから植え付けると子球がでやすくなります。しかし、この方法は失敗すると球根そのものがダメになってしまうので、細心の注意が必要です。ちなみに切り口は腐りやすいので、切り口をよく乾かして、雑菌などが入らないようにしてから植え付けるようにしましょう。切るときに使用するカッターナイフなどもよく切れる、清潔なものを使いましょう。

スケーリング

スケーリング分球しにくいものの中でも、アマリリスによく使う方法です。スケーリングは要するに料理で言うところの「くし切り」です。頂点部を中心として、放射状に切っていきます。切る際、頂点部と基部(根のでる下の部分)が必ず切り取った断片につくように切らなければなりません。そうしないと、根がでないあるいは、芽が出ないかどちらかの弊害が発生します。これを土にさすと、いづれ子球が発生してくるので、その子球を大きく育てます。

ふやすのは個人で楽しむ範囲で

個人で人為的に植物を増やす場合、その球根を販売目的で増やすことはやめましょう。すべてがそうではないですが、品種によってパテントがついてるものが最近多く、UPOVという国際条約で品種登録が認められています。勝手にぽこぽこ増やされたらその品種を作った人が悔しい思いをしますしね。ただでさえ品種改良というのは10年単位の時間がかかるものですから。あくまでも個人で楽しむ範囲で自分の庭などでおこなうようにしましょう

続いては、球根の貯蔵方法

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