ニシキギ
科名
ニシキギ科
学名
Euonymus alatus
別名
ヤハズニシキギ
原産地
日本 朝鮮半島 中国
大きさ
2m~3m
主な開花期
5月~6月(紅葉:10月~11月)
耐寒性
つよい
難易度
★★☆☆☆(そだてやすい)

こんな植物です

〔〕内は学名、E.はGiliaの略。

ニシキギは日本~朝鮮半島・中国にかけて分布する落葉性の低木で、低い山や人家に近い山林などに自生しています。

枝に「翼(よく)」と呼ばれるコルク質の羽が付くのが特長で、類似種のコマユミとも羽があるかないかで簡単に区別できます(姿は非常に似ていますが、コマユミの枝には翼がありません)。枝に付いた翼の部分を弓矢の羽(矢筈)に例えてヤハズニシキギという別名があります。

春に淡緑色の小さな花を咲かせますがあまり目立ちません。花の大きさは5mm程度で葉の下に隠れる様に咲きます。秋になると果実が熟して裂け、中から赤橙色の種子が顔を出します。葉はだ円形で長さは5cm前後、フチには細かいギザギザがあります。

用途・名前の由来

紅葉は非常に美しいですが、カエデ類と比べると落葉が早く鑑賞期間が短いのが少し難点です。枝をどこで切ってもよく芽を吹くので、生垣に利用されることもあります。

紅葉した美しい姿を「錦」に例えらて「錦木」の名前があります。カエデ、スズランノキと並び世界三大紅葉樹のひとつです。

属名のエウオニムスは古代ギリシア語で「よい評判」という意味の単語からきていると言われますが、由来は不明です。

種類

品種にコマユミ〔E. alatus f. ciliatodentatus〕やコマユミの葉裏に細かい毛が生えたケコマユミ〔E. alatus f. apetera〕、枝に翼があり、葉に毛の生えるケニシキギ〔E. alatus f. pilosus〕などがあります。変種に葉の小さいコバマユミ〔E. alatus var. microphyllus〕があります。

育て方

栽培カレンダー

栽培カレンダー

主な作業の適期

剪定 2月~3月(生垣:11月)
植え付け 11月~3月
肥料 1月~2月

日常の手入れ

剪定

自然樹形でもかたちよくまとまるので、不要な枝を切る程度にとどめ必要以上に剪定をする必要はありません。落葉期なら随時作業可能ですが、春に芽が出る直前の2月~3月頃が一番適しています。

重なり合っている邪魔な枝や、間延びした枝を切り落とすのが基本となります。枝が混みあっている箇所は樹の内側に向かって伸びる枝を切る様にすると全体的にすっきりした感じになります。

ニシキギの生長スピードは並程度ですが芽吹きが非常に良く、枝を中途半端な位置で切り落とすとそこからたくさんの芽が吹きます。そうなると自然樹形が大きく損なわれて全体のバランスが悪くなるので、枝を切る際は必ず枝分かれしている元の部分で切るようにしましょう。

生垣の刈り込み

生垣の場合は11月頃に全体を整える様にはみ出た枝を刈り込んでいきます。ただし、この頃にはすでに今年伸びた枝に来年咲く花芽がつくられており、刈り込むと言うことは花芽ごと枝を切り落とすことになりますので生垣では実を鑑賞することは難しいでしょう。

日当たり・置き場所

日当たりの良い場所が適しています。また、真夏の強い直射日光や西日に当てない方がきれいに紅葉します。日当たりがよく明るい感じの山林の中に生えていることが多いので、そのような環境を好むのではないかと思います。

耐陰性はある程度ありますが日当たりの悪い場所では花付き、実付きが悪くて秋の紅葉時期もあまり葉がきれいに色づきません。

夏に乾燥させてしまうと秋の紅葉に影響を与えてしまうので、乾きやすい場所なら株元に腐葉土を敷くなどして極端に土が乾かない様にします。西日や真夏の直射日光があまり良くないのも土が極端に乾燥するおそれがあるからです。

水やり・肥料

肥料はあまりたくさん必要とせず、1月~2月に化成肥料を株元に少量施せば充分です。逆に多いと間延びした枝が出やすく、窒素過多になると紅葉に悪い影響を与えるので気をつけましょう。

かかりやすい病害虫

風通しが悪いとアブラムシやカイガラムシの発生が見られます。

植え付けと用土

植え付けは落葉期ならいつでも可能ですが、できれば寒冷地での厳寒期は避けた方がよいです。また、小苗ならば春に芽が吹いて葉が出た頃まで植え付け可能です。植え付ける前には堆肥や腐葉土を土に混ぜ込んでおき、水はけを良くするために山高に土を盛ってその中心に植え付け支柱を立てます。実付きには非常に個体差があるので、できれば実付きの状態を確認して苗木を選びたいです。

水はけがよく、腐葉土や堆肥のたっぷり入った肥沃な土を好みます。

ふやし方

さし木、とり木タネまきでふやすことができます。

さし木の適期は3月中旬~下旬です。前年伸びた枝を15cmほどの長さに切って下半分を用土に挿します。比較的根が出やすく、2~3年生の枝でもさし木できます。生長が比較的早く、5年くらい育てると立派な株に育ちます。

できるだけ大きな株がほしい場合は、とり木が適しています。4月中旬頃が適期で、取りたい位置の枝の表皮をぐるりと一周りはがして、そこに湿らせた水苔をまいてさらにビニールを巻いて乾かさない様に管理します。3ヶ月ほどで充分根が出てくるので、9月頃に切り離して植え付けます。

タネまきは秋に熟した果実を採取し土の中に埋めておきます。そのまま放置しておくと果肉が腐り中の種子だけの状態になるので、3月頃に取り出してまきます。

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