イスノキの育て方

虫こぶがたくさんできる樹木

マンサク科 「い」からはじまる植物 花木・庭木・果樹

イスノキ
科名
マンサク科
学名
Distylium racemosum
別名
ヒョンノキ
原産地
日本 済州島 中国 台湾
大きさ
10m~20m
主な開花期
4月~5月
耐寒性
ふつう
難易度
★★☆☆☆(そだてやすい)

こんな植物です

〔〕内は学名

日本(本州中部以南~沖縄)、済州島、中国、台湾に分布する常緑樹です。庭木や公園樹として利用されています。沖縄では耕作地や家屋を守る防風林として植栽されています。園芸では、マンサクを接ぐ台木に使われています。

姿・形

樹高は20mを越す大木になります。公園などに植栽されているものは3m~5mほどにおさまっています。樹皮は黒っぽい灰色になります。成木は枝を横に伸ばし、半円形の樹形を作ります。枝を切っても芽吹く力が強いので、色々な形に仕立てる事ができます。

葉っぱは長さ4cm~9cmの楕円形です。表面はなめらかなツヤがあり、革質でしっかりとした厚みを持ちます。

主な開花期は4月~5月です。前年枝の先端あたりの葉腋(葉の付け根)にかたまって咲きます。通常は雌雄雑居性で、ひとつの花序(花の集合体)の上部に両性花、下の方に雄花が咲きます。両性花は雌しべと雄しべからなり、雄花は雌しべが退化して雄しべのみです。花びらはありませんが、雄しべの葯や雌しべの花柱が紅色で、よく見るとキレイです。

果実は長さ1cmほどの先端の尖ったタマゴ型で、表面は褐色の毛で覆われます。熟すとぱかりと割れて中からツヤのある黒いタネを出します。

変種に枝が枝垂れるシダレイスノキ〔var. pendulum〕、園芸品種に葉に黄色い模様が入るフイリイスノキ(バリエガツム)〔'Variegatum'〕があり、いずれも栽培されます。

虫こぶができる

葉や枝には様々な虫が付いて、虫コブを作ります。葉にイボのようなコブができたり、袋状のコブになったりと寄生する虫により形は色々です。本当によくできるので、虫コブ観察には最適の樹木だと思います。虫コブのないイスノキは不思議と物足りなさを感じます。

用途

材は緻密で堅く、日本原産の木のなかでは最も重い部類に入ります。建築、器具、楽器、そろばんの玉などに用いられます。心材(中心に近い部分)は黒く、黒檀や紫檀の代用とされます。虫コブはタンニンを多く含み、染料になります。

由来

名前の由来は不明です。別名のヒョンノキは、虫コブを吹くと音が鳴るので名付けられました。詳しく言うと、木のように硬くなった虫コブにある穴(中の虫が出ていった跡)に口を当てて吹くと、内部が空洞なので、音が鳴るということです。

属名のディスティリウムは「2つの花柱」という意味で、雌しべの花柱が裂けて2本に見える所に由来します。種小名のラケモスムは「総状花序を付けた」の意で、花の付き方から来ています。


育て方

栽培カレンダー

栽培カレンダー

主な作業の適期

植え付け 4月下~7月上 / 9月上
刈り込み 5月 / 9月

適した場所

日当たりの良い場所でよく育つ陽樹です。耐陰性もあり、半日陰の場所でも育ちます。水はけのよい砂質土壌が良いですが、あまり土質は選びません。暖地性の樹木で、寒冷地での植栽は適しません。

植え付け

4月下旬~7月上旬、9月上旬が適期です。

手入れ

生垣などの場合は、5月と9月の年2回、刈り込みを行います。特に若木はどんどん枝を出して樹形を乱します。自然樹形に近い形に仕立てているものは、樹冠内の混み合った枝や不要なを間引き剪定(枝抜き)して樹形を整えます。樹冠内の風通しを良くすることで、ある程度病害虫の発生を防ぐことができます。

かかりやすい病害虫

虫が付いて虫コブが沢山できることが多いです。虫コブは樹の生長にあまり影響しません。どうしても許せない場合は薬剤を散布して予防しますが、完封は難しいと思われます。

ふやし方

さし木かタネまきで増やします。タネの発芽率は比較的良いです。

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