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バンジロウ(ヴァバ)の育て方

キミノバンジロウフトモモ科 学名:Psidum guajava 用途 鉢植え 露地植え
難易度 バー バー バー バー バー(ふつう)

耐寒性 バー バー バー バー バー(ややよわい)

熱帯-亜熱帯で広く栽培されている果樹で、日本でも沖縄や小笠原で野生化したものが見られます。樹高2~3mの低木で、冬でも葉を落とさない常緑性です。葉は卵形~だ円形で15cm前後、やや厚みがあります。葉脈は表側がくぼんで裏面が出っ張ります

栽培カレンダー
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
開花期
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収穫期
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剪定
  バー バー バー        
植え付け
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肥料
バー         バー    

花・実のつきかた・品種の選び方
「春に伸びた新しい枝」、「昨年伸びた枝の先端から更に出てくる新しい枝」に花芽付けます。花の咲く時期は主に4月~5月、新しく伸びた枝の2~4節目、その位置にある葉の付け根に1~3輪ずつ咲きます。花後に果実をつけ、秋に採りごろになります。

品種の選び方
一株あれば実を付けます。「バンジロウ(グアバ)」「テリハバンジロウ(ストロベリーグアバ)」「キミノバンジロウ(イエローストロベリーグアバ)」の3種が比較的出回り家庭果樹に向いているでしょう。その中でもキミノバンジロウは比較的寒さに強く育てやすいです。

剪定・整枝(枝を切る作業)
放任でもある程度樹形は整うのですが、ややバランスの悪い頭でっかちな感じになりやすいです。まだ、枝の張っていない棒のような姿の苗木から育てる場合、先端を切ってワキから2~3本メインとなる枝を出させ、茎葉が茂るようにします。鉢植えの場合、鉢と苗木の高さのバランスが1:1になるように先端を切り詰めると座りがよいです。

樹形の整ったものは、伸びすぎて全体のバランスをくずす枝、混みあって重なり合った枝など不要な枝を取り除きます。不要な枝を除くのは樹の内部までお日様がしっかり通るようにするのが目的です。

季節・日常の手入れ
摘果(てっか)
充実した実をとるために余分な実を取り除く作業のことです。日照不足や低温で落果することはありますが、比較的実止まりの良い果樹なので、必須と言うほどの必要性はありません。行う場合は目安として「葉っぱ10~15枚につき果実を1~2コ残してあとは摘み取る」とされています。時期はまだ果実が小さい内、6月ころが適期です。

収穫・利用
果実は皮が色づいて完熟したら収穫します。熟すとバンジロウは黄緑色に、テリハバンジロウは紫紅色、キミノバンジロウは黄色に色づきます。熟したものはやわらかくて傷みやすいので、流通しているものは未熟なものを収穫後、追熟しているものが多いです。樹で熟したものを利用できるのも家庭果樹の醍醐味といえるでしょう。熟していないと甘みが弱く、とても酸っぱく感じます。

生食でき、皮ごとガブリと食べることもできます。タネが気になる場合は、ジュースにして濾して利用します。そのほか、ジャムにも利用できます。

日当たり/置き場所 ポイント
日当たりの良い、風の強くない場所が適しています。熱帯性の樹木で暑いと元気です。

バンジロウは熱帯果樹の中でも寒さに強いほうです。キミノバンジロウのように耐寒性の強いものは0℃程度まで耐えますが、冬でも5~6℃合ったほうが無難です。元来強健な植物で、寒さで葉っぱを落としてしまうことがありますが、暖かくなったら芽を出すこともあります。地植えで育てるなら、沖縄、九州南部、四国、本州-房総半島南部より西の太平洋岸-あたりが無難な植栽適地といえるでしょう。わからない場合は鉢植えで育てて、冬は室内の日の当たる場所に移動させます。

水やり・肥料 ポイント
水やりは、春~秋は土の表面が乾いたらたっぷり、特に開花期や芽出しの時期は極端な水切れに気をつけます。冬は低温で生長しないので乾かし気味、水やりの回数を控えめにします。

肥料は控えめにします。環境の良い場所の露地植えならほぼ与えなくても育ちます。肥料過多-特に窒素分-になると、枝がよく伸びますが実付きが悪くなったり、果実が小さい内に落ちてしまうことがあります。肥料を与える時期は2月と9月の年2回、油かすに骨粉を混ぜたものを少量施します。

用土
水はけが良ければ特に土質は選ばず育ちます。

植え付け・植え替え
植え付けの適期は4月~5月で、充分に暖かくなってから行います。鉢植えの場合、いきなり大きな鉢に植え付けるのではなく、最初は苗が植わっているものより一回り大きな鉢に、そして数年に1回、生長に合わせて次に大きな鉢に植え替えていくとよいです。最終的に8号~10号(直径24cm-30cm)の鉢に植えますが、そこまで生長すると果実もよく実り、果樹として充分楽しめる大きさになっていると思います。

移植も可能ですが、根付きはあまりよくはないです。やる場合は、枝を全体の6割方切り詰めて小さくし、大きく掘りとって細根ができるだけたくさん付くようにして、乾かさないうちに植えます。

ふやし方 
さし木、タネまき、とり木でふやすことができます。

さし木の適期は6月下旬ころ。春に伸びた新しい枝を10cmほどに切り取って土に挿します。一般的に発根率はあまり良くない、とされています。

タネまきは熟した果実の中からタネをとりだして、すぐにまきます(「とりまき」といいます)。すぐにまけない場合は湿らせた砂の中などに貯蔵しておき、春にまきます。採取したタネは乾かさないことが大切で、乾くと発芽率が極端に落ちます。とりまきの発芽率はよく、気温が充分あれば1週間程度で芽を出します。5年ほどで開花し、実を付ける大きさになります。

かかりやすい病害虫
害虫:アブラムシ カイガラムシ

アブラムシ、カイガラムシの被害が見られます。見つけ次第駆除します。また、カイガラムシの被害がひどいとスス病を併発することもあります。

まとめ
越冬温度は5~6℃、熱帯果樹では寒さに強いほうです
肥料は控えめに、与えすぎると実付きが悪くなります
日当たりの良い場所でよく育ちます、日陰では充分生長しません

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